ソフトウェアプラグインでは、IRのサンプルレートを気にしなくていい理由

TacoSounds

前回、IRデータに3種類のフォルダがある理由を書いた。あれはハードウェア機器向けの話だった。

ではソフトウェアプラグインで使うときはどうなのか。答えはシンプルで、サンプルレートをまったく気にしなくていい。理由を整理する。

① DAW を 48K で起動
② プラグイン → エンジンに「48K で動作します」と通知
③ 96K の IR ファイルを選択
↓ この瞬間だけ変換が走る
④ バックグラウンドで 96K → 48K にリサンプリング
⑤ 48K でメモリに展開・完了
⑥ 再生・録音中は変換ゼロ ✓

変換が走るのは「IRファイルを選んだその瞬間だけ」。バックグラウンドで完了してしまえば、あとは再生中も録音中も何も起きない。ピッチはズレないし、音質も落ちない。処理が重くなることもない。非力なPCでも関係ない。

つまり、44.1K・48K・96Kのどれを選んでも、再生時の結果は同じ。


じゃあ何が大事かというと、ビット深度だ。

IRデータには「最初の大きなパルス」から「ほとんど聞こえない残響の末尾」まで、ものすごい幅のダイナミクスがある。そのレンジをどこまで記録できるかがビット深度で決まる。

ビット深度 ダイナミックレンジ プラグイン用途での評価
16bit 96dB △ 残響末尾がノイズフロアに埋もれる
24bit 144dB ◎ これを選べばOK
32bit(固定小数点) 192dB ○ 精度は高いが、IRファイルとしてはほぼ存在しない
32bit float 精度は24bit相当 ※ ○ DAWの内部処理で一般的。24bitとの差はほぼゼロ

16bitだと残響の細かい末尾がノイズフロアに沈んでしまう。24bitなら144dBあるので問題ない。

※ Cubaseのエクスポート画面を見ると、「32 Bit」と「32 Bit Float」の2つが並んでいる。「32 Bit」が固定小数点方式、「32 Bit Float」が浮動小数点方式だ。固定小数点は音量の全レンジをはじめから均等な刻みで記録する方式で、192dBのレンジが使える。浮動小数点はDAW内部処理でよく使われる方式で、音量に応じて精度を自動調整する。どの音量帯でも約24bit相当の精度が出るように設計されている。IRファイルとして使う分には、どちらも24bitとの体感差はほぼゼロだ。


まとめると、ソフトウェアプラグインで使うならサンプルレートはどれでも大丈夫。大事なのは24bitであること。

TacoSoundsのIRパックは「96K 24bit WAV」で統一している。96KにしているのはHW機器との互換性のため(前回の記事参照)。24bitにしているのは残響の情報をすべて保持するため。一本で全環境に対応できる構成にした。

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